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情報管理、その1

著:ジェームズ・ワイアット

これは本当の話だが、私は職場で……うむ……片付けがうまいと評判である(それは“くそ-細かい”というが、頼むからふたつの単語は続けて読んで欲しい。)。ある日昼食へ行く途中、私はロブ・ハインソーの車に積まれたCDを片付けた――いや、正確には彼がそう言いふらしている。そしてその話は私を混沌のただ中にあるウィザーズ・オヴ・ザ・コーストのRPGゲーム資料室へ異動させたので、私は彼にその話をもう話して欲しくない。

閑話休題、私は先月ダンジョン職人の連載を書いている間に、私は勘案だったすべてのことについて充分な情報を用意できたと実感した。今回は予告どおり、作られた情報を管理――君自身とプレイヤーたちのために――する方法について語る。結論をいえば、『ダンジョンマスターズ・ガイド』に書かれているふたつの重要なことがら、DM用ノート(145ページ参照)とキャンペーン・ハンドアウト(143ページ参照)についてである。だが私は情報を管理するために他の手法やメディアを試す、ことインターネットの活用にたいへん関心がある。これはダンジョン職人の連載2回分に足る大きな話題である。そこでその1では君のプレイヤーにキャンペーンの情報を知らせる方法を書く。その2ではその情報を君自身が――プレイヤーと協力して――管理することに焦点をあてる。

キャンペーン・ハンドアウト

君のキャンペーン・ハンドアウトはプレイヤーに提示する新しいキャンペーンの序奏である。彼らが始めるキャラクター作成を助けて世界におけるキャラクターの立ち位置を理解させることが主な目的である。そのふたつめの目的は、広告である。君はゲームの開始を盛り上がらせたい。そのためには彼らの欲求を刺激するに足りる最初の冒険への充分な手がかりを持たせることが重要である。それは君が創造した世界の驚異と世界に迫る脅威を見せつけなければならない。ようは、D&Dを始めたい状態のプレイヤーを作るのである。

どういう情報をキャンペーン・ハンドアウトに入れればよいのだろう? ところで、私のカカラ・キャンペーンのために、私が最もハンドアウトに盛り込みたいのは連載の初回、10月のものにさかのぼる。そこで私はカカラの周囲に住む各種族の立場を概説し、村と周辺の地図を描いた。それ以来私は細かい部分に肉付けをし、将来の冒険についての計画もつまびらかにし、それはかなり良い具合にキャンペーンの導入となった。見よ!

興味深いことに私はこのハンドアウトをまとめるさい、焼け落ちた森の名前(しかし誰もなんと呼ばれていたか知らない)、白角山脈、カラスの行水河、そしてエラドリンの街ケンダリアネ(それを私は予告本の『Wizards Presents: Worlds and Monsters』から引用した)など、見落としていたいくつかの項目をつけ加えねばならなかった。最も緻密に作ったのは初回で書いたキャンペーンの背景設定で、それ以降は以前より年表や詳細にこだわらず設定を書いたのである。

私は先月に概要を決めた最も重要なNPCに注意を向けた――ビレル最長老、カーラヴァスと他の司祭、そしてふたりの商人――そして私が何らかの繋がりを持ちプレイヤーの背中を押して欲しいと思うふたり(ジャンダーと行方不明になった黄玉修道会の騎士)。私が他のNPCに名前を書かなかった理由は、ふたつある。ひとつに、私がプレイヤーにキャンペーンでこれから重要になるかもしれないNPCの情報を提供したくないということ(たとえば、マルティとデレク・ヴェランのように)。大変重要なことだが、私は彼らの頭を爆発させたくない。『ダンジョンマスターズ・ガイド』ではキャンペーン・ハンドアウトの上限を2ページまでと提案しており、これは私が思うに良い経験則である。(3ページ目に地図を持ってくるのもすごく良い。)キャンペーンを遊ぶ前のプレイヤーに小説を読ませてはいけないし、彼らが頭の中に百科事典を作って丸暗記できると思うのもいけない。遭遇の始まりに声に出して読む程度、単純なのは良いことである。

同じような内容をインターネット上のサーバ領域でウェブ・ページとして提供するのはかなり簡単にできる。私は最初の文章を不気味な音楽とスター・ウォーズ風のスクロールする字幕で、Flash動画にすることさえ考えた。君がオンラインでゲームを遊んでいるなら(掲示板プレイや仮想テーブル)、いい考えがある――情報の規格をプレイヤーが読みやすいように統一するとよい。しかし、伝統的な机の上でやるゲームならば、実際に存在する物理的なハンドアウトを軽視してはいけない。プレイヤーは彼らのキャラクター・シートと保管したり、ノートの最初に挟んだり、『プレイヤー・ハンドブック』に折りこむ。最も重要なことは、彼らがプレイ中に参照できることである。君のプレイヤーが自分の普段コンピュータをテーブルに置いているならば、オンライン版は素晴らしい。そうでなければ、紙を使おう――電子版を使っていても、最低限は紙に。

プレイヤー用ノート

ここからは編集者のグレッグ・ビルスランドからの知識だが、次回解説するDM用ノートと同じようにプレイヤー用ノートを持つことは素晴らしい考えだ。そこにキャンペーン・ハンドアウトを書きこみ、さらに地図、他のハンドアウト、仲間が手に入れた財宝の記録、仲間による冒険の記録、他にもプレイヤーがゲームの間に必要としたことを書いていく。ひとりのプレイヤーが責任を負ってノートの維持と管理に勤めるのも素晴らしい、君はノートを持つプレイヤーがゲームに参加できないときのためにそれを保管しておかねばならないが。君はプレイヤーごとに重要なハンドアウトをコピーして配ることができるが、君とプレイヤーがどこにあるか分かるものを共有すれば君のゲームを円滑に運営することを助けてくれる。

次回私は電子化したDM用ノートについて話すが、これはすべてプレイヤー用ノートにあてはまる。

では、その1はこれで終わり。次回は、私が調べた役に立ちそうなウェブ上の資源について報告する。

著者について

ジェームズ・ワイアットD&Dのリード・ストーリー・デザイナーにしてD&D第4版リード・デザイナーのひとりである。彼は7年以上ウィザーズ・オヴ・コースト社に勤め、『エベロン・ワールドガイド』『City of the Spider Queen』、そして『Oriental Adventures』といった受賞暦のある世界設定や冒険シナリオの執筆や共同執筆に携わった。彼の最も新しい仕事は『Expedition to Castle Ravenloft』『Cormyr: The Tearing of the Weave』そして、『The Forge of War』である。ごく最近、彼は第4版の『ダンジョンマスターズ・ガイド』を執筆した。

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